医学の英語はこんなにカンタン

医学の英語は、ふつうの英語とは別物、ずっとカンタン。それを書いていきます。

control  はて、ピッチャーのコントロールとは別物か

 はじめて医学の文献に接した人が困るもののひとつに control がある。


 われわれの知っている control とはせいぜい、制御くらいなもので、コントロールのいいピッチャーと言う時の control くらいしか浮かんでこない。


 もし、これと同じ意味で使われているのだとしたら、control group は理解しがたい。
 先に種明かしをすると、この場合、対照群という意味で、効果を評価しようとする薬剤を投与するグループに対して、このグループと性別、年齢、健康状態などに差がないグループをもうひとつ設け、その薬剤とは別のすでに効果が明らかにされている薬剤または外観だけを同じくするが効果のないプラセボと呼ばれるものを投与する。
 そうすることによって、効果を評価するために指標のようなものを設けるわけである。


 では、ピッチャーのコントロールとはまったく別物か。


 父はよくストライクを投げるピッチャーがいいピッチャーではないと言っていた。確かに、ストライクしか投げないピッチャーなら、打者にとってやりやすいこと、このうえない。
 ピッチャーはまた、敬遠の時のように、とんでもないところにもボールを投げる。
 では、ピッチャーの評価は何を基準としているか。基本的にはキャッチャーの指定した球筋ということになる。


 それがなければ、ピッチャーのコントロールがいいかどうか、判断のしようがない。


 そう考えていくと、キャッチャーの指定した球筋とこの対照とが実は本質的には同じものであることがわかってくる。


 英語の単語には(何語でもそうかしれないが)、一見、さまざまな意味があるように見えて、実はひとつながりの「ひとつの」意味しかないのである。


 このことは次に番外編で書いてみたい。


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significant を知るだけで

 医学の英語には、ふつうの英語からは想像もつかないものがいくつもある。


 そのうちのひとつが significant(ly)である。


 辞書を引いてもうろたえるばかり。


 Survival improved significantly. 


 はて、どういうことなのか。何らかの治療の結果、生存率が延びた、改善したということであるが、では、significantlyは、、。これは「有意に」ということで、治療の結果、偶然ではなく、改善が得られたということである。


 だから、大幅にとはちがう。いくら大きく改善しても、偶然の可能性が払拭できなければ、有意にとは言えない。


 こうして、少しずつ、特有の表現を覚えていけば、医学の英語はこわくない。
 


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0.05という数字の巧みさ

 P<0.05は有意水準としては最も大きな数字である。


 確率20分の1。AがBより優れているという結果が出て、それが偶然ではない確率が20分の1。けっして起こりえないことはないが、ほぼ偶然ではないと言えるぎりぎりの数字である。


 これを別の観点からみると、ある病気が蔓延して、2人に1人が死ぬとしたら、気が気でないだろう。100人に1人だったら、まず自分は大丈夫と安心してられる。50人に1人でもまず大丈夫だと思える。
 5人に1人、10人に1人だったら、やはり不安は払拭されない。


 不安が消えないか、安心してられるかの境目がこの確率20分の1。


 抽選でも何でも、5人に1人、10人に1人までなら、希望がもてる。100人に1人、50人に1人なら、まずムリだろうとあまり期待しないで結果を待つ。
 その境目がやはり、20人に1人ということになる。


 




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